リング照明とカメラを用いた、シール不良のシワを自動で検出するAI外観検査装置のフラットイラスト

シール不良のシワを目視から自動化!画像処理・AI検査を成功させる撮像技術

リング照明とカメラを用いた、シール不良のシワを自動で検出するAI外観検査装置のフラットイラスト

ヒートシール部におけるシワ・噛み込みなどのシール不良は、包装材の光沢による乱反射や微細なヨレのため、目視検査での見逃しや判定バラつきが起きやすい課題です。全数自動検査を実現するには、SWIR(短波長赤外)などの適切な照明技術でクリアな撮像環境を整え、卓上検査機等によるスモールスタートで現場に合わせた検査システムを検証・構築することが成功の鍵となります。

本記事は、外観検査・画像処理をこれから学ぶ方に向けた入門編です。基礎的な考え方をわかりやすくお伝えすることを目的としており、個別の検査条件や厳密な光学設計には踏み込んでいません。記事内の図・画像はイメージであり、実際の製品や構成とは異なる場合があります。

「食品や医薬品の包装ラインで、ヒートシール部のシワによるシール不良(漏れ・噛み込み)が見逃されてしまう…」「スナック菓子袋のような光沢フィルムは乱反射がひどく、目視検査の限界を感じている」とお悩みではありませんか?シール部のシワや折れは、製品の密封性を損なう重大な欠陥ですが、目視や単純な画像処理では検出が非常に困難です。本記事では、シール不良(シワ)の自動検査・AI化を成功させるための具体的な撮像手法や導入ステップを解説します。

この記事のポイント

  • 目視検査でシール部のシワ・乱反射が見逃されやすい理由と課題がわかる
  • 画像処理・AI・SWIR(短波長赤外)など、シワ・噛み込みを捉える技術がわかる
  • 失敗しない自動化へのアプローチ「スモールスタート」の重要性が理解できる
Q
質問者
スナック菓子などの袋のシール部を検査しているのですが、テカテカした乱反射や細かなシワのせいで、目視だとどうしても見逃しが出てしまいます。自動化したいのですが、なぜこんなに難しいのでしょうか?
A
回答者
包装フィルム特有の光沢による強力な「ハレーション(光の映り込み)」と、シワの立体感が打ち消されてしまうことが原因です。人間の眼や通常の照明では、乱反射と本物のキズ・シワの区別がつかないためです。

ヒートシール部におけるシワ・乱反射が「目視検査」を難しくする理由

アルミ包装袋のヒートシール部を目視検査する作業風景

食品、医薬品、電子部品などのヒートシール(加熱圧着)工程において、シール部への「シワ」や「噛み込み(内容物の挟み込み)」の発生は、気密性の低下(リーク)に直結する重大な品質不良です。しかし、多くの製造現場において、不良の検査は依然として人間の眼に頼る「目視検査」が行われており、大きな課題となっています。

なぜ目視では見逃しや判定のばらつきが起きるのか

目視検査(人の眼による官能検査)は、予期せぬ形状変化にも柔軟に対応できるというメリットがある反面、作業員の体調や集中力、熟練度によって判定基準が揺らぐという根本的な問題を抱えています。

特に高速で流れる生産ラインにおいて、薄いフィルムの微細なシワや折れを目視で全数チェックし続けることは生理的に非常に困難です。目が疲れてくると、微細なシワの見落とし(流出)や、正常なヨレを不良と判定してしまう「過検出(良品破棄)」が頻発します。また、検査員ごとの「これくらいなら良品」という定性的な判断のばらつきを標準化することも長年の課題となっています。

スナック菓子袋など光沢フィルム特有の「乱反射」の課題

さらに目視検査や従来の画像処理を困難にしているのが、ワーク(検査対象物)となる「包装フィルム」そのものの光学的な特性です。

スナック菓子袋をはじめとするアルミ蒸着フィルムや光沢のある樹脂フィルムは、表面で強烈な光の反射(ハレーション)を起こします。通常の室内照明や一般的なライトを当てると、以下のような問題が発生します。

光沢フィルムの視認性課題 現場で起きる具体的な現象
光の乱反射(ハレーション) 照明の映り込みで表面が白く飛び、シワの輪郭や凹凸が光に埋もれて消えてしまう。
立体感の消失 フィルム表面の細かな波打ちと、製品の密閉を阻害する重大な「シワ・折れ」の区別がつかない。
角度による見え方の変化 ワークの僅かな傾きや曲がりによって光の反射方向が変わり、正常部と不良部の明暗パターンが反転する。

このように、単純に照明を強く照らしたり目視の確認時間を延ばしたりするだけでは、光沢フィルムの「乱反射」という物理的な障壁をクリアすることはできません。シール不良(シワ)を安定して検出するためには、人の眼に頼るのではなく、光の波長や照射角度をコントロールした撮像技術と自動検査への切り替えが不可欠です。

シール不良(シワ)を検出する主な自動検査手法の比較

ヒートシール不良を検出する自動検査手法の比較イメージ

ヒートシール部のシワや噛み込みを自動で検知・判別するためには、ワークの材質・構造や検知したい不具合の性質に応じた検査手法の選定が欠かせません。現在、製造現場で検討される代表的な自動検査手法には、光学カメラを使う方式とその他の各種センサーを用いる方式があります。

カメラ+照明(画像処理・AI)による外観検査

最も広く普及しているのが、エリアカメラやラインカメラとLED照明を組み合わせた「画像処理・AI外観検査」です。

高分解能なカメラで撮影した画像に対し、ルールベース(しきい値処理)やAI(ディープラーニング)による画像解析を行うことで、シール表面の目視困難なシワ・折り目・形状変化を瞬時に捉えます。インライン(生産ライン上)での高速判定に適しており、シワだけでなく、汚れ・印字不良・外形変形などを同時に複合検査できる拡張性の高さが大きなメリットです。

ただし、光沢フィルムのシワ検知においては、単に高画質なカメラを置くだけでは乱反射によってシワが消えてしまいます。カメラの性能を生かしきるためには、シワの陰影やコントラストを光学的に浮き立たせる「照明技術」が不可欠です。

赤外線・超音波・X線などその他非破壊検査の特徴

画像処理のほかにも、特定の物理現象を利用した非破壊検査手法が存在します。それぞれの得意・不得意を理解して使い分けることが重要です。

検査手法 主な仕組みと特徴 シワ・噛み込み検査における適用性
赤外線(サーモグラフィ)検査 加熱直後や冷却過程の温度分布パターンを熱画像化して比較する。 ヒートシール部の密着不良や熱伝達のムラを検知しやすい。ただしフィルムの熱容量や冷却速度に影響される。
超音波検査 シール部に超音波を照射し、内部の空洞や隙間(未粘着部)による透過・反射波の変化を見る。 フィルム内部の剥離や厚みの不連続箇所を捉えるのに有効。ワークへの接触・近接が必要な場合がある。
X線検査 X線の透過率の違いを利用して内部の密度変化を画像化する。 シール部内に噛み込んだ金属粉や高密度な異物の検出に強い。微細な「表面の折りシワ」単体の検出には過剰スペックとなりやすい。

このように、非破壊検査にはそれぞれ特長がありますが、一般的なフィルム包装ラインにおいて「表面の微細なシワ・折り目」「薄い噛み込み」を高速かつ低コストに全数検査したい場合、「カメラ+最適化された照明(画像処理・AI)」の組み合わせが最も現実的で導入しやすい選択肢となります。

画像処理・AI検査でシワ・ヨレを鮮明に捉えるための撮像ポイント

LED照明によるヒートシール部のシワ・噛み込み撮像実験の様子

カメラと画像処理ソフトやAIを導入しても、元の撮影画像においてシワや欠陥が映っていなければ、どれほど高度なアルゴリズムを用いても正確な判定は不可能です。外観検査の成否は「どのような画像(撮像品質)をソフトに入力できるか」という照明・光学設計で決まります。

欠陥を浮き立たせる「照明技術(光の当て方)」の重要性

スナック菓子袋などの光沢フィルムや金属蒸着フィルムにおいて、シワや折り目を鮮明に捉えるためには、照射角度や光の波長(色)をコントロールした照明技術が不可欠です。

例えば、表面のハレーション(強烈な光の映り込み)を抑えて均一に照らすには、ドーム構造の内部で光を多方向に拡散させる「ドーム照明」が極めて有効です。全方向から柔らかい拡散光を当てることで、テカテカした光沢面での局所的な白飛びを防ぎ、表面の微細な凹凸やシワの影だけを浮き立たせることができます。

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また、シール部に内容物や液体が挟み込まれた「噛み込み不良」の検出には、SWIR(Short-Wavelength Infrared:短波長赤外光)などの特定波長の活用が大きな効果を発揮します。可視光ではフィルム表面の印刷パターンや光沢に邪魔されて見えない噛み込みであっても、物質への透過性や吸光特性が異なるSWIR波長を用いることで、フィルムを透過して内部の挟み込み物質のみを明確なコントラストとして可視化することが可能になります。

AI(ディープラーニング)とルールベース検査の得意分野と使い分け

撮像環境を整えた上で、撮影した画像をどのように処理・判定するかも重要です。画像処理手法には従来の「ルールベース検査」と近年の「AI外観検査」があり、それぞれに適した領域があります。

処理方式 主な判定ロジック シワ・シール検査における得意・不得意
ルールベース検査(従来型) 面積、長さ、輝度値(明暗の差)などの数値を人間があらかじめ「しきい値」として設定して判定する。 【得意】シール幅の計測、明確な直線状の噛み込みなど。
【課題】不定形で複雑な「自然発生する折りシワ」の定義が難しい。
AI外観検査(ディープラーニング) 事前に「良品画像」や「不良品画像」を学習させ、特徴量を自動抽出して類似度から判定する。 【得意】背景にシワ模様がある中での微細な欠陥、見分ける基準が曖昧な定性的な「シワ・歪み」の判定。
【課題】学習データの収集が必要。
Q
質問者
AI(ディープラーニング)を使えば、照明にこだわらなくても曖昧なシワを何でも自動で判定してくれるのでしょうか?
A
回答者
それはよくある誤解です。AIであっても「画像に映っていない情報」を判別することはできません。ハレーションでシワが消えている画像ではAIも判定に失敗します。まず最適な照明で欠陥の特徴をくっきり写し出すことが、AIの判定精度を安定させる絶対条件です。

「AIを導入すれば照明選びは適当で良い」ということはありません。鮮明な撮像画像が得られてはじめて、ルールベースやAIによる高精度な自動判定が成立します。

自動化検討を成功させるための導入プロセス

実験ラボにおけるサンプルワークのテスト撮像と画像評価

ヒートシール部のシワや噛み込みの自動検査化を検討する際、「いきなり全自動のインライン検査装置を導入しようとして失敗する」というケースは少なくありません。複雑な現場環境に適応し、確実な検査システムを構築するには順序を踏んだプロセスが必要です。

現場ワークを用いた「テスト撮像・評価」の必要性

自動化を成功させるための最大のポイントは、「スモールスタート」から始めることです。

最初から大掛かりなインライン搬送装置や高価な検査システムを組み込むのではなく、まずは卓上検査装置のような小型の評価環境を作ることが有効です。実際の製造ラインから流れるサンプルワーク(良品および様々な程度のシワ・噛み込み不良品)を用意し、実機でのテスト撮像を繰り返し行います。

💡 卓上機によるスモールスタートのメリット
卓上型の検証環境で「目視検査を補う補助ツール」として試運用を進めることで、現場の作業員がAI画像検査の挙動や強み・弱みを実体験として理解できるようになります。どのようなシワなら確実に捉えられるのか、現場の理解を深めた上で段階的に自動化へシフトすることが成功への近道です。

「自社のワークで本当にシワが映るのか」「どの照明方式が最適か」を確認したい場合は、自社だけで悩むのではなく、画像処理用照明メーカーが提供している「実験ラボでのテスト撮像」や「デモ機貸出制度」を活用するのが確実です。プロの光学知識を活用して事前に最適な撮像条件を絞り込んでおくことで、導入後の手戻りリスクを大幅に削減できます。

搬送条件や撮像環境の安定化

テスト撮像で良好な画像が得られたら、次に重要となるのが「現場環境のばらつき」への対策です。シワ不良の自動化において難易度を引き上げる要因は、現場ごとに異なる以下のような外部環境(外乱要因)にあります。

現場での主な外乱要因 撮像・判定への影響と対策の方向性
外乱光(太陽光や工場内照明) 時間帯や季節によって照明環境が変わり、画像の明暗が変動する。暗室化(遮光フード設置)や特定波長+フィルターで対策する。
ワークの形状・個体差のばらつき 袋の膨らみ具合やシール部の曲がりによって光の当たり方が変わる。ガイド設置や被写界深度の確保を行う。
搬送ラインの振れ・スピード変調 コンベアの振動やライン速度の変動で画像にブレが生じる。高速シャッターや同期パルス照射を活用する。

自動検査においては「これさえ使えばどの現場でも100%解決する」という万能な装置は存在しません。現場の搬送条件や外乱光を正しく把握し、それに合わせた撮像環境を整えることが安定運用の鍵となります。

よくあるご質問

透明フィルムや金銀光沢袋のシワでも照明調整で検出できますか?

はい、適切な照明選定によって十分に検出可能です。透明フィルムや金銀・アルミなどの高光沢袋はハレーション(白飛び)が起きやすいですが、多方向から拡散光を照射する「ドーム照明」や、波長特性を利用した「SWIR(短波長赤外光)」などを組み合わせることで、光の乱反射を抑えてシワの輪郭や欠陥部のみをクリアに浮き立たせることができます。

目視検査からの自動化はどこから着手すべきですか?

いきなり全自動のインライン検査ラインを構築するのではなく、卓上型などの小型評価装置を用いた「スモールスタート」からの着手を強く推奨します。目視検査の補完として現場で運用を試し、どのようなシワがAIや画像処理で検出できるかのノウハウを蓄積してから段階的に自動ラインへ拡張していくことで、導入失敗のリスクを最小限に抑えられます。

AI検査を導入すれば照明選びは適当でも大丈夫ですか?

いいえ、AI検査(ディープラーニング)であっても照明選定は非常に重要です。AIは撮影された画像内の特徴量を学習・判別するため、照明不備でハレーションを起こしたり影に埋もれたりして「画像に写っていないシワ」を判定することはできません。AIの判定精度や安定性を引き出すためにも、まずは最適な照明技術でクリアな画像を撮像することが前提となります。

まとめ

ヒートシール部の自動外観検査システムの運用イメージ

ヒートシール部におけるシワや噛み込み不良は、製品の密封性や品質に直結する重要な課題です。光沢フィルム特有の乱反射や目視検査の限界を克服し、高精度な自動検査を実現するための重要ポイントを改めてまとめます。

ヒートシール部シワ自動検査のチェックリスト

  • 撮像品質の向上:ドーム照明やSWIR(短波長赤外)等を活用し、ハレーションを抑えてシワを可視化する
  • 判定手法の選択:あらかじめ定義が難しい複雑なシワにはAI外観検査、寸法や特定形状にはルールベースを適用する
  • 段階的な導入:卓上機等を用いたスモールスタートで現場の理解とノウハウを蓄積する
  • 環境の安定化:外乱光やワークの傾き、搬送ブレなどの現場環境に応じた遮光・治具対策を行う

自動化において最も難易度が高いのは、工場ごとの外乱光、ワークの膨らみや材質のばらつき、コンベアの振れなど、現場ごとに全く異なる撮像環境への適応です。「これさえ使えばどの現場でも100%解決する」という単一の万能ツールは存在しません。

自社ワークでの見え方や最適な照明選定にご不安がある場合は、まずは画像処理用照明メーカーの実験ラボを活用したテスト撮像やデモ機貸出で実際の写りを確認してみることをおすすめします。

豊富な照明ラインナップやテストルーム(実験ラボ)、デモ機貸出制度を備えた照明メーカーへお気軽にご相談ください。多様なライティング技術を活用して、最適な撮像条件の構築をサポートいたします。

実際のワークをお預かりしてのテスト撮像は、お問い合わせフォームより承っております。

この記事を書いた人

株式会社レイマック

滋賀県守山市に本社を置く、画像処理・検査用LED照明機器およびFA(ファクトリーオートメーション)システムの専門メーカー。高度な光学・照明技術を強みに、医療・ヘルスケア機器の開発・製造から電子機器等のOEM/ODM事業まで幅広く展開し、ものづくり現場の品質向上と自動化に貢献しています。

※1)本記事で扱う画像内容はあくまでイメージであり、実態と一部乖離が発生している可能性がございます。
※2)正確で分かりやすい情報発信のため、社内知見を基に生成AIを活用して草案を作成し、専門家が監修しています。